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​活動レポート

J-CLIL 第2回中国支部研究会報告

9月9日(土)に広島県立叡啓大学(広島市中区)にて開催いたしましたJ-CLIL第2回中国支部研究会のご報告をいたします。今回は新型コロナウイルス感染症の影響の緩和を受けて、対面での開催となりました。第1回目と同様に、その内容は充実しており、ワークショップ、講演、研究発表と内容は盛りだくさんで、みなさまのご協力のおかげで大変な盛会となりました。あらためましてお礼を申し上げます。ご発表いただきましたみなさまと活発に意見交換でき、親睦を深めることができました。大会後の懇親会ではみなさまと親睦を深めることができました。このような盛会となったことは、ひとえにみなさまのご協力の賜物です。

 本研究会の企画は、BEVIによる学習者の分析を、CLIL教育に取り入れる試みによりさらなる教育効果を求める斬新なチャレンジを狙ったものです。 BEVIとは、教育、研究からリーダーシップ・プログラムやメンタル・ヘルスに至るまで、様々な場面で利用することのできる心理学に基づくアセスメントツールで、学生の学習・成長・変化のプロセスや成果を理解し、それらを促進させることができます。留学プログラムの分析でBEVIを利用することで CLILの4Cのうち特にCultureとCommunicationの変化を客観的数値で示すことができ、それによってCLILメソッドを用いた留学プログラムの改善にもつながります。

 研究会の様子をご紹介します。大会はまず、上杉裕子支部長(叡啓大学)による開会の言葉でスタートしました。今回は研究者や教員のみならず、叡啓大学の学生も参加し、活発な会となりました。




ワークショップでは西谷元氏(広島大学)とCraig Shealy氏(Western Washington University)をお招きし、「より効果のあるCLIL教育を行うためには?‐コンピテンシーの視点から-」と題し、BEVIについての大変貴重なご講演をいただきました。氷山モデルを用いて、学生の行動の目に見える部分である「スキル、知識、態度」と、目には見えない「動機、価値観、行動特性、使命感」、いわゆるコンピテンシーという潜在部分についてご説明いただきました。BEVIはこの潜在部分を客観的数値で可視化してくれるテストです。


講演では、山川健一氏(安田女子大学)に、「留学における学生の変容:BEVIを用いた分析を中心として」と題してご講演いただきました。安田女子大学における留学事情をはじめとして、BEVIを導入するに至った経緯をお話しいただきました。学生の留学前後における変化についてBEVIおよびKH Coderを用いた分析結果をご紹介いただきました。学生の変容をとらえることは容易なことではなく、学生個人とグループを両方かつ多面的にとらえて分析する必要があるとご説明いただきました。





研究発表1では上杉氏、 George Higginbotham氏(両氏とも叡啓大学)とで、“Developing Language Proficiency and Cultural Understanding”と題して、叡啓大学における英語集中プログラムとそれらのBEVIを用いた分析結果についてご説明いただきました。短期の国内イベントは学生の他文化理解にわずかに影響があったのに対し、長期留学は劇的な変化をもたらしたという結果をお話しいただきました。様々な国、年齢、言語の学生のデータ収集をし、今後は多角的な分析をめざしているそうです。この研究を通じて、「将来的に新しい教育モデル/プログラムを提案することができるかもしれない」という期待にあふれる言葉で発表が締めくくられました。


研究発表2では筆者である堀と山口裕美氏(筆者、山口氏とも津山工業高等専門学校)とで、「高専での英語科目における検定教科書を用いたCLIL教育実践」と題し、発表を行いました。CLILにおける4C(Content, Communication, Cognition, Communication)と、高専の英語の授業で使用する検定教科書の内容と構成とのつながりについて説明いたしました。また、4Cを意識した英語活動に関して、「疑問文作成」、「読み聞かせ」および「ディスカッション」の3つの活動を例に実践報告をいたしました。今後は、こうした活動の影響について調査を行う必要があると考えております。



 最後は二五義博副支部長(山口学芸大学)による閉会の言葉で締めくくりました。回を重ねるごとに、BEVIの仕組み活用方法、BEVIによるコンピテンシー評価とCLIL教育の有用性ついての知識が深まっていくのを感じております。


今回の研究会もみなさまのご協力のおかげで、知的好奇心を刺激する素晴らしい研究会となりました。参加してくださったすべてのみなさまに心から感謝しています。

次回の中国支部は12月の研究会の実施を考えております。今後とも中国支部をどうぞ応援してください。ひき続きどうぞよろしくお願いいたします。


文責 堀 秀暢(津山工業高等専門学校)

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