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​活動レポート

J-CLIL第4回中国支部大会

  • 執筆者の写真: CLIL GSA
    CLIL GSA
  • 9月22日
  • 読了時間: 5分

 

開催日:令和7年8月9日(土)

会場:TSUTAYA BOOKSTORE 岡山駅前 

ミーティングルーム04

報告者:中国支部長 上杉裕子

 

 

1.J-CLIL 第4回中国支部研究会

 

本稿では、8月9日(土)にTSUTAYA BOOKSTOREミーティングルーム04(岡山県岡山市)にて開催いたしましたJ-CLIL第4回中国支部研究会のご報告をいたします。今回も第3回と同様に対面での開催となりました。内容に関しては上智大学のRichard Pinner氏による基調講演に加え、全国から研究発表を募り、計5件の発表が行われました。内容は多岐にわたり、非常に充実した大会となりました。ご発表いただきましたみなさまと活発に意見交換でき、深い学びを得ることができました。大会後の懇親会ではみなさまと親睦を深めることができました。このような盛会となったことは、ひとえにみなさまのご協力の賜物です。

 大会はまず、支部長として開会の言葉を述べ、スタートいたしました。

 


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基調講演

講演者:Richard Pinner先生(上智大学)

演題:"Authenticity and Intuition: Best Practices in CLIL Teaching, Training and Research"

Pinner先生は、教育実践における「直感」と「真正性(オーセンティシティ)」について講演されました。まず「直感とは何か」という問いから始まり、教育における直感は瞬時の判断力であり、経験に基づく気づきであると定義されました。教材の「本物らしさ」よりも、教師の行動と信念の一致、生徒との真のつながりが重要であると強調されました。

AI生成画像を用いた実験では、「本物」と「偽物」の境界の曖昧さが議論され、教師の直感がAI生成課題の見抜きに役立つこと、また翻訳業や英語教育の在り方にも影響を与える可能性が示されました。

直感の特性として「タイミング」「暗黙性」「経験依存」「全体的視点」「感情的側面」などが挙げられ、授業中の即興対応や生徒に合わせた行動の実例が紹介されました。自身の授業データを分析することで、経験値が加速的に高まり、より信頼性の高い直感が育まれると結論づけられました。

参加者との対話を重視した双方向的な講演で、学びの多い濃密な時間となりました。


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研究発表1

発表者:津田晶子先生(中村学園大学)

演題:「語学教員と専門教員の協業による食育英語のCLIL」

栄養士資格を持つ英語教員によるユニークなCLIL実践が紹介されました。欧州と日本のCLILの違い、日本では「ハードCLIL」が主流である点が議論されました。3年間のカリキュラムでは、栄養を軸にした食文化教育を展開し、英語を用いた調理・研究活動や英語レシピコンテストが行われています。

教材の真正性と理解しやすさのバランス、SDGsとの連携、食の多様性・文化的背景の理解が重視されており、国際交流や地域連携も視野に入れた取り組みです。失敗事例も率直に共有され、教育への熱意が伝わる発表でした。


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研究発表2

発表者:末澤奈付子先生(京都橘大学)

演題:「道徳ジレンマを活用したCLIL型EFLライティング指導の効果検証」

道徳的・異文化的ジレンマを題材にした教材を用い、生徒が自分の考えを英語で表現する力を養う実践例が紹介されました。AIによる文法・作文フィードバックも活用されており、AI生成文と生徒の文を比較することで、表現力や構成力の向上につながっています。

思考力と英作文力を同時に育てる教育法として、非常に意義深い内容でした。

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研究発表3

発表者:Curtis Revis先生(徳山工業高等専門学校)

演題:「A Theoretical Justification of CLIL」

CLILにおける真正性の理論的背景と実践について発表されました。真正性はネイティブ話者モデルではなく、生徒中心のアプローチや教師との相互作用によって構築されるとされ、教材の多様性や生徒の興味に合った内容が動機づけに重要であると述べられました。

「実際の真正性」と「生徒が感じる真正性」の違い、英語話者の多様性への誤解なども指摘されました。PowerPointやKahootを活用した授業例も紹介され、今後はSDGsから日本文化への教材展開を予定しているとのことです。


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研究発表4

発表者:Nate Olson先生(東洋学園大学)

演題:「思考のパートナーとともに教える:CLILにおけるLLMの活用」

CLIL授業における大規模言語モデル(LLM)の活用と課題について発表されました。ChatGPTやClaudeなどのLLMは、専門家不在時の「仮想コンテンツパートナー」として活用されており、「AIを使う教師が使わない教師を置き換える」という視点が紹介されました。

SAMRモデルを用いた活用の進化、DALL-Eによるロゴ制作、ChatGPTによるビジネスプラン分析などの実践例が紹介されました。AI依存への懸念や誤情報(ハルシネーション)への注意喚起もあり、教師の役割として精査・補足が求められることが強調されました。


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研究発表5

発表者:上杉裕子(叡啓大学)

演題:「CLILを活用した文学教育:学びのプロセスと成果の可視化」

まず、CLILとBEVI(Beliefs, Events, and Values Inventory)を活用した文学教育の実践例を紹介いたしました。教材『CLIL英語で学ぶ文学』を用いた授業では、言語習得と異文化理解の促進が図られ、BEVIによって学生の価値観や世界観の変化が可視化されたことをご報告いたしました。

2023〜2024年のデータでは、社会的・文化的開放性やグローバル意識の向上が確認され、性別や国際性による違いも見られました。また、文学作品におけるセンシティブなテーマ(例:自殺)を扱う際には、カウンセリング情報の提供とメンタルヘルス支援の重要性について触れました。


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閉会の挨拶と次年度の展望

閉会の辞は中国副支部長・二五義博先生(山口学芸大学)よりいただきました。今回の大会は東京開催より規模は小さいながらも、家庭的な雰囲気の中で活発な質疑応答が行われ、有意義な研究大会となったことが述べられました。

また、報告者から、令和8年度の中国支部大会は、サバティカル研修に伴いハワイ大学マノア校にて開催予定であることも発表いたしました。ハワイ大学側もCLILに強い関心を示し、開催に前向きな姿勢を示されています。


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今回の研究会もみなさまのご協力のおかげで、知的好奇心を刺激する素晴らしい研究会となりました。参加してくださったすべてのみなさまに心から感謝しています。今後とも中国支部をどうぞ応援してください。ひき続きどうぞよろしくお願いいたします。

 


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